東電福島原発事故の被害の実態と、原因・責任を解明し、人権の回復と、脱原発社会を目指す、法律家・科学者・ジャーナリストのネットワークです
原発基礎知識
原子力発電とは
発電の仕組み
原子力発電も火力発電も、発電の方法については、基本的には同じやり方で行われています。電気を作るのは、発電機で、そこにあるタービンというものを回すことによって発電をさせるのですが、そのタービンを回すための動力として何が使われるのかということによって、発電の種類が異なってきます。火力なら燃料の、石油、石炭などを燃やして、原子力なら核エネルギーを用いて、それぞれ水などを沸騰させ、一部ガスタービンの場合もありますが、蒸気の力でタービンを駆動させます。これが発電の種類の違いとなります。
発電機にあるタービンを回して、その力で電気を作るという、基本的な仕組みは一緒なのですが、それをどのような方法で行うのかが異なるわけです。この違いが発電の性格を大きく決めることになります。火力発電、火力発電所にも、それ固有の問題がありますが、また、そのほかの発電の仕組みにも、同じように問題があるのですが、技術的には、比較的安定したものといえるでしょう。それに対して、原子力発電、原子力発電所は、原子炉を制御することが難しく、核の廃棄物の問題などもあり、技術的にも、非常に多くの困難を抱えているといえるでしょう。ここに原発の是非が議論される大きな理由があります。
原子力発電とは
原子力発電も原子力爆弾も、核分裂の連鎖反応によって生み出される莫大なエネルギーを利用していることに変わりはありません。ウラン原子核に中性子を衝突させると原子核は分裂し中性子を出し、その中性子がさらにほかの原子核を分裂させるという具合に、つぎつぎと原子核を分裂させることを連鎖反応といい、この核分裂のさいには大きなエネルギーが放出されるのですが、それが連鎖反応することによって、短時間に非常に膨大なものとなるのです。この仕組みを原子爆弾は利用しているのですが、それはその力をできるだけ短い時間に極大化する方向でもちいられます。
これに対して、原子力発電の方は、この同じ原理を利用してはいますが、核分裂の連鎖反応にともなうエネルギーを抑えながら、つまり核分裂を緩やかに持続的に起させて少しずつ、小出しにエネルギーを取り出すようにするのです。このエネルギーが生み出す熱を用いて水などを沸騰させて、その水蒸気の力で発電用のタービンをまわし、発電する仕組みとなります。核分裂のさいに、熱のもととなるエネルギーを放出すると同時に、放射線を出します。この放射線をおびた物質、放射性物質が、原子力発電では、核爆発と比べても、大量に発生し、時間的にも長期にわたって残存することになります。
ここに原子力発電の危険性があるといえるでしょう。放射性物質は、放射線を放出し、しだいに別の物質となるのですが、その時に熱が生み出されます。こうした性質を放射能というのですが、発電にともなって原子炉内に大量に発生した放射能から、非常に多くの熱が出つづけることになります。そのため原子炉が停止した状態にあっても、炉心を冷やしつづける必要があり、十分に冷却されていないと、放射能が外部に放出されるような事態になってしまいます。なお、放射性物質が、放射線を出しほかの物質へと変化していく過程で、放射能の量が半分になるまでの時間を半減期といいます。
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放射能の危険性
放射線と放射能
放射線は、光と同じような性質をもったもので、原子を構成するそれぞれの要素の高速の流れや、エネルギーの強い波などをいいます。放射線には、α(アルファ)線・β(ベータ)線、γ(ガンマ)線のほかに、エックス線、中性子線、陽子線があります。このうち、ガンマ線とエックス線は、高エネルギーの電磁波で、光の一種といえます。また、原子は、陽子、中性子、電子といった粒子からなり、その中心に、いくつかの陽子と中性子でできた原子核があり、その周囲を何個かの電子が回転しています。
放射線を発する放射性物質は、通常は安定している原子核とは異なり、不安定な原子核、放射性核種という、を持っており、これが放射線を出しながら、放射性崩壊といいますが、壊れていきます。この時に放出されるのがアルファ線、ベータ線とガンマ線で、この前のふたつに加えて、中性子線と陽子線が、粒子からなる放射線となります。中性子線と陽子線は、それぞれ中性子と陽子の高速の流れですが、ベータ線が電子の高速の流れで、アルファ線はヘリウム原子核の高速の流れとなります。
放射能とは、放射線を出す能力のことで、放射線を出す性質をおびた物質、放射性物質は、放射性崩壊をしながら、異なる種類の物質へと変化していきます。この過程で、いわば物質から自発的に放射線が放出されるわけですが、その性質を放射能といいます。放射能は、放射性物質から放射線が出つづけている限りあるといえ、このような状態と考えることもできるでしょう。また、放射性物質それ自体を指し示す意味で、放射能という言葉がもちいられることもあり、性質や能力を表しているといえるでしょう。
放射性物質とは、このようにそれが崩壊していく過程で放射線を発しているものを指すのですが、そこにはいろいろな種類、核種といいます、が存在しています。主なものとしては、セシウム、ヨウ素、ストロンチウム、プルトニウム、コバルトなどといったものがあります。これらは、それぞれによって性質が異なり、人体への影響も違ってきます。
この放射性物質が崩壊して、放射線を放出する量、放射能が半分にまでなる期間を半減期といいます。これには、物理的半減期と生物学的半減期というふたつの考え方があり、物理的半減期の方は、量的に、原子の数が半減するまでの時間を意味し、その時間の長さによって放射能の影響がどこまで続くのかが決まってきます。生物学的半減期の方は、体内に取りこまれた放射性物質が、代謝などによってそれが半減する期間を示しており、人間の生体、臓器などの器官への影響をみるさいの目安となります。
半減期は、核種それぞれで違っており、物理的半減期でも、長いものは、プルトニウム239のように2万4400年もあるものから、ヨウ素131のように8日間と、短いものまで、まちまちとなっており、影響の仕方が異なっています。生物学的半減期も、核種によって体内での代謝のスピードが違うことから長さが異なり、また体内の影響を与える器官も、それぞれ違いがあります。このほかの核種の物理的半減期としては、ストロンチウム90が29年、コバルト60が5.3年となっており、同じ物質でも、種類によって大きく異なり、例えばセシウムは、セシウム137が30年に対して、セシウム134は2年と、比較的短期間で半減します。このように種類によって、性質が異なります。
放射線の単位
「ベクレル」は、放射能を放出する方からの単位で、放射能の強さを表しています。放射性物質が放射線を発する、その強さを示しており、具体的には、1個の原子核が1秒間に崩壊する値であり、それが大きいほど放射能が強いことを意味します。
「シーベルト」は、放射能を受ける側からのもので、被ばく線量の単位を意味します。線量当量を表し、その値は、生体に対する影響を考慮した形での放射線の量、人体が吸収した量を示しています。毎時シーベルトは(Sv/h)、1時間で被ばくする線量で、強さを、1シーベルト/時は、1時間、同じ線量を受けたとしたら、1シーベルトの値となることを意味しています。例えば、毎時200ミリシーベルトの被ばくを15分間したとして、その被ばく線量は、4分の1の50ミリシーベルトとなります。
自然と人工の放射線
もともと自然に存在している物質にも、放射線を発するものがあり、それを自然放射線といい、人工的に作られた物質から出される放射線、人工放射線と区別することがあります。原子炉から放出される放射線による被ばくなどは、代表的な人工的放射線源による被ばくといえます。このほかには、医療機器からの、患者や医療従事者への被ばくなどが、人工的なものとして一般的に知られているといえるでしょう。
自然環境に由来するものとして、宇宙からの放射線、宇宙線をはじめ、大地や建物、また食品などからも放射線が発しており、それぞれ被ばくしたり、体内に取りこんだりしています。年間の被ばく量は、世界平均で2.4ミリシーベルト、日本では、平均1.5ミリシーベルトとされています。このほかに、人工的なものですが、検診などのさいのエックス線検査でも被ばくしており、日常的に放射線にさらされていることになります。
放射線の人体への影響
放射性物質から出される放射線に人間の体がさらされることを放射線被ばくといい、それには、外部被ばくと内部被ばくのふたつがあります。この放射線被ばくによって、人体に影響があるとされていますが、それを放射線障害といいます。
放射線障害は、被ばくすることによって、放射線がもたらす作用で体内の細胞が傷つけられて、細胞が死んでしまうか、そこまでいかなくとも、傷ついたまま細胞が分裂し、それを遺伝子が受け継ぎ、そうした状態で細胞分裂が繰り返されることによって、細胞がガン化することなどにより引き起こされます。放射線障害も、その影響のあらわれ方の違いによって、急性障害と晩発性障害のふたつに分けることができます。
急性障害は、高いレベルの放射線に人体がさらされた時、高線量の放射線をあびたさいに発生するもので、一定の量を超えて被ばくすると症状があらわれ、その影響は被ばくの線量に比例して、多いほど深刻度は増していきます。外部被ばくなど、直接的に放射線をあびたさいなどに、あらわれやすいといえるでしょう。
晩発性障害は、これに対して、低いレベルの放射線にさらされた場合でも発生するリスクがあるといえます。その名前の通り、時間が経過した後になって症状があらわれ、すぐに表面化しないところに特徴があるといえるでしょう。発症するリスク、可能性は、同じくさらされた線量に比例することが知られていますが、その症状の深刻さの度合いは、必ずしも、被ばくした線量にかかわらず、ときには大きな影響をおよぼすこともあります。また、内部被ばくなどとも関連して、注意しておく必要があるといえるでしょう。
外部被ばくとは、体の外に存在している放射性物質から発する放射線をあびることによるものです。そのときに注意しておくこととして、アルファ線のような飛距離が長くない性質のものは、皮膚の表面で止まってしまうため、それほど影響を及ぼさないのですが、皮膚への透過力のあるベータ線とガンマ線は、用心する必要があるといえます。外部被ばくは完全には防げませんが、遠くに離れたり、さらされている時間を短くしたり、屋内に退避するなど、その影響をできるだけ低減することが重要となるでしょう。
内部被ばくとは、食物を摂取することや、呼吸を通じて大気中にある放射性物質を体内に取りこむことによって発生するものです。人体の中にある放射性物質が放射線を発し、その放射線が体の中の臓器などに影響をあたえるものです。体内で放射線が、繰り返し細胞を傷つけることとなり、長い時間をかけて害をもたらすことにつながります。内部被ばくを避けるためには、放射能をおびた食べ物をできるだけ取らないようにすることや、呼吸などのときに体外から吸入しないために、防護用のマスクで防ぐことなどが効果的であり、こうした対策が必要となってくるといえるでしょう。
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原子力発電の問題点
原子力発電の問題点としては、事故を起こした原子炉そのものの問題はもちろん、さまざまに指摘することができるでしょう。原子炉の膨大な核エネルギーをどう制御し、放射性物質が出し続ける崩壊熱を冷やしつづけることのほかにも、数多くの課題があるといえるでしょう。そのほとんどは、いまのところ、十分に問題が解消しているとはいえません。
原子炉そのものではなく、それを制御するためにある配管などの部分においても、これまで事故が多発してきました。地震によって配管が直接的に損傷することや、また金属疲労などの時間的な劣化によっても、これらのトラブルが誘発されてきました。こうした点なども、原子力発電の問題点、課題を考えるうえで、欠かせない視点ではないでしょうか。
中でも最大の問題点は、いうまでもなく、核廃棄物の処分の問題でしょう。これは、発電などをしつづければ、必然的にドンドンと増えていくものですが、その処理の見通しは、ほとんど立っていないといっていいでしょう。地中におくとしても、日本では、その候補地さえ見つからない状況であることは、よく知られています。また、プルサーマル発電や、核燃料サイクルなども、課題が多く、見通しは、明るいとはいえない状況です。
総じて、原子力発電は、問題点が多く、コスト的にも、事故などが発生したときのことを考えると、莫大なものとなる可能性を抱えているため、割に合わないという考えが強くなっているといえるでしょう。そのため、原子力発電から撤退を決めている国も、決して少なくはない状態といえるでしょう。その展望は、かなり厳しいものといっていいでしょう。
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福島原発事故
福島第1原子力発電所で何がおきたのかは、必ずしも、十分に解明されたとはいえないでしょう。さまざまな報告書が出されてはいますが、肝心の原子炉の内部を直接見ることは、ほとんどできないので、断定することは困難といえるでしょう。だが、現時点でも、いろいろな検証をすることによって、解明できることもあり、その作業はなされつつあるといえるでしょう。最終的な結論としては、相当の時間が経過したのちに、原子炉を直接確認したうえで、くだされることとなるでしょうが、現時点でも、可能な範囲で明らかにしていくことが重要であることは、いうまでもないことでしょう。
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日本の原発
※地図をクリックすると大きな画像で表示されます。(PDF)
「稼働」中の発電所
泊発電所 北海道電力 北海道古宇郡泊村 加圧水型軽水炉 3基
207万kW 全機定期点検中。
59年に立地決定、共和町との境界に作られ、内陸型原発となるはずだったが、78年計画変更。奥尻島で被害が出て北海道南西沖地震の際も停止しなかったが、設計上の想定はM8.2。札幌、小樽などがすっぽり80km圏内に収まる。80km09年には約10キロ離れた海底に活断層があるとの指摘もあった。多雪地帯にあり、冬季の事故での住民避難は困難だと心配されている。
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泊発電所の脱原発訴訟
東通原子力発電所 東北電力・東京電力 青森県下北郡東通村 沸騰水型軽水炉
改良型沸騰水型軽水炉 稼働中1基は点検中.建設中1基/計画中2基
110万kW 全機停止中。
国内の沸騰水型原子炉としては最大級。東日本大震災の際は定期点検中。震度5弱で外部の電源供給が止まり、一時非常用自家発電に切り替わった。海水熱交換機立てや後かで海水漏洩、放射能監視ポストの一部が停止。津波もあったが、高さ2.6mの岸壁は越えなかった。30km圏内に六ヶ所村のウラン再処理工場などが入る。
女川原子力発電所 東北電力 宮城県牡鹿郡女川町 沸騰水型軽水炉 3基
217.4万kW 東日本大震災で全機停止中。
東北電力が最初に手がけた原発。東日本大震災では、震源からの距離は福島第一原発より近かったが、2号機の原子炉建屋の地下が浸水非常用自家発電機が使えなくなり別系統の自家発電機で対応するなどした。1号機のタービン建屋の地下では火災も。
地震による揺れの想定は最大580ガルだったが、これを超える揺れがあったことが確認され、津波の高さも想定の9.1mを上回り13m。津波が引いた際、潮位が海面より低くなって、冷却用海水がとれず、予備海水が使われた。3基が数時間で冷温停止し、大事には至らなかった。本震の直後、住民がPRセンターに集結、職員用の体育館に誘導されて話題になった。仙台市は80km、石巻市は20km圏内。
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女川原子力発電所の脱原発訴訟
福島第一原子力発電所 東京電力 福島県双葉郡双葉町(5、6号機)
沸騰水型軽水炉 2基
188.4万kW 東北地方太平洋沖地震により全機停止中。
事故が起きた1−4号機は2012年4月20日に廃止。
東京電力最初の原発で、61年双葉町議会が誘致を決め、66年着工、70年10月、初臨界に達した。71年操業開始の1号機はGE製の沸騰水型マークT、米国では72年に構造的欠陥が指摘されていたが、11年2月に原子力安全・保安院から10年の運転継続を認可されたばかりだった。2号機は10年6月、電源喪失による炉内水位低下事故を起こしている。3号機は76年運転開始、唯一の古い沸騰水型炉。10年からプルサーマル発電。
東日本大震災当時、1−3号機は運転中だったが自動停止、4号機は定期点検中だったが、1、3、4号機で水素爆発を起こしている。5,6号機は定期点検中だった。
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福島第一原子力発電所の脱原発訴訟
福島第二原子力発電所 東京電力 福島県双葉郡楢葉町 沸騰水型軽水炉4基
440万kW 東北地方太平洋沖地震により全機停止中。
第1原発と同じような条件にあったが、全機が冷温停止状態になった。第一原発の最新の運転開始は79年だったが、第二の1号機は82年運転開始。このため、非常用電源なども機能が保たれ、大きな問題を起こさなかった。
東海第二発電所 日本原子力発電 茨城県那珂郡東海村 沸騰水型軽水炉1基
110万kW 東北地方太平洋沖地震により全機停止中。
1957年日本原電が敷地候補地を決め60年着工、65年5月初臨界、初の商業用原発として活動した第一原発が、98年3月運転を終了。これに代わるものとして第二原発が造られ、78年から運転を開始した。水戸市、日立市は20km圏。
東日本大震災では、原子炉は自動停止、外部電源も失われたが、非常用発電機で炉を冷却、大きな被害は出なかった。第一原発の解体は01年に始まり、21年に完了予定。
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東海第二発電所の脱原発訴訟
柏崎刈羽原子力発電所 東京電力 新潟県柏崎市 沸騰水型軽水炉5基、改良型沸騰水型軽水炉2基
821.2万kW 新潟県中越沖地震により2-4号機停止中。 1、5-7号機は定期点検中。
定格出力821万kw余は世界最大。07年の中越沖地震で、想定外の揺れを受け、施設の損壊、漏水、変圧器の火災などが起き、運転中の4基すべてが停止した。事故後の対応も悪く、柏崎市が、緊急使用停止命令を出したりしている。30km圏内に長岡市、80km圏内には新潟市、佐渡も含まれる。
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柏崎刈羽原子力発電所の脱原発訴訟
浜岡原子力発電所 中部電力 静岡県御前崎市
沸騰水型軽水炉2基、改良型沸騰水型軽水炉1基 計画中1基
361.7万kW 1、2号機は2009年1月30日に運転終了。 3−5号機は2011年5月14日に運転停止。
中部電力唯一の原発。67年に議会誘致決定、71年着工、74年初臨界。東海地震との関係で危険性の指摘を受け、1号機は01年の原子炉漏水事故、2号機は04年の定期点検で止まり、08年廃炉が決まった。この背景には、03年からの運転差し止め訴訟などがある。
東日本大震災当時、4,5号機が運転中、3号機は定期点検中だったが、菅直人首相の勧告で全機停止。焼津、掛川、袋井各市が30km圏、静岡、浜松は80km圏内。
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浜岡原子力発電所の脱原発訴訟
志賀原子力発電所 北陸電力 石川県羽咋郡志賀町 沸騰水型軽水炉、改良型沸騰水型軽水炉 各1基
189.8万kW 1号機はポンプ部品の不具合により停止中。 2号機は定期点検中。
北陸電力唯一の原発。80年に議会が誘致を決め、88年着工、92年11月初臨界。99年には定検中に制御棒の緊急挿入試験の最中に作業ミスから臨界状態になり、しかもこれを隠したため問題になった。2号機については耐震性が問題になり、06年には金沢地裁が運転差し止め命令を出した。
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志賀原子力発電所の脱原発訴訟
敦賀発電所 日本原子力発電 福井県敦賀市 加圧水型軽水炉、沸騰水型軽水炉
改良型加圧水型軽水炉 各1基 計画中2基
151.7万kW 全機定期点検中。
1号機は70年営業運転開始で国内2番目の商用発電炉。福島第一1号機と同じGE製マークT。09年廃炉の予定だったが、16年までの延命が決まった。11年1月には緊急炉心冷却システムの1つが機能しないまま運転していたとして原子力安全・保安院から厳重注意を受けた。2号機は三菱製。1,2号機は敦賀半島の東北端にあり、地震などで道路が損壊した場合、車両などが到達できない恐れがあり道路建設中。敦賀、美浜、ふげん、もんじゅは約10kmくらいの場所に集中。一つの事故が他の原発事故を誘発することがあれば、大変なことになりかねない、と心配されている。
美浜発電所 関西電力 福井県三方郡美浜町 加圧水型軽水炉 3基
166.6万kW 全機定期点検中。
62年美浜町の誘致決定、67年着工、70年7月初臨界、1号機は、70年の大阪万博に「原子力の電気」を送った古い原発。73年には燃料棒が損壊したが、事故を隠した。3号機は04年に二次冷却水の配管破損、蒸気漏れ事故で5人が死亡した。
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美浜発電所の脱原発訴訟
大飯発電所 関西電力 福井県大飯郡おおい町 加圧水型軽水炉 4基
471万kW 全機定期点検中。 3・4号機は2012年7月 - 2013年9月に運転。
4基すべてが100万kw以上で、関西電力最大の原発。事故対策として炉の周りに氷を常時配置するアイスコンデンサー方式(1,2号機)や格納容器に鋼線を組み込んで容器全体を締め付けるプレストレストコンクリート方式(3,4号機)などがとられている。
08年には3号機で、原子炉容器と冷却系配管との溶接部で深い傷が見つかった。東日本大震災当時は、3号機は定期点検中。活断層の存在が問題になり、調査が行われている。
80km圏内には滋賀県、京都市がすっぽり入る。事故が起きれば、近畿地方の水ガメの琵琶湖の汚染が心配される。
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大飯発電所の脱原発訴訟
高浜発電所 関西電力 福井県大飯郡高浜町 加圧水型軽水炉 4基
339.2万kW 全機定期点検中。
66年町議会が誘致、70年着工、74年初臨界。11年1月には3号機で、関西電力で初めてプルサーマル発電を開始。震災当時1号機は定検中だった。
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高浜発電所の脱原発訴訟
島根原子力発電所 中国電力 島根県松江市
沸騰水型軽水炉、 改良型沸騰水型軽水炉 2基、建設中1基
128万kW 全機定期点検中。
松江市の島根県庁から10km弱にあり、県庁から最も近い原発。67年地元が受け入れ表明、日本で唯1カ所の都道府県庁所在地にある原発。70年着工、73年初臨界。10年、1号機で多数の点検漏れがあったと中国電力が公表。2号機もいったん停止したが運転再開中。プルサーマルの導入も予定されている。
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島根発電所の脱原発訴訟
伊方発電所 四国電力 愛媛県西宇和郡伊方町 加圧水型軽水炉 3基
202.2万kW 全機定期点検中。
四国電力唯一の原発で、瀬戸内海の伊予灘に面して建ち、69年に誘致決定、73年着工、77年1月初臨界。80km圏内には松山市、宇和島市などのほか、広島県柳井市、大分市などが含まれる。日本列島の南側の南海地震の影響を受けやすい上、関東から九州を東西に横断する中央構造体にも近いことが指摘されている。1号機は老朽化が心配され、3号機は10年3月からプルサーマル発電を開始した。
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伊方発電所の脱原発訴訟
玄海原子力発電所 九州電力 佐賀県東松浦郡玄海町 加圧水型軽水炉 4基
347.8万kW 全機定期点検中。
66年誘致決定、71年着工、75年1月初臨界。09年からプルサーマル発電として始まった3号機では、10年12月、1時冷却水の要素濃度が平均値の4倍に上昇、燃料棒に穴が開いていたことが確認され、その後も運転は再開されていない。地震対策は540ガルの振動に耐えられるようになっており、津波についても敷地自体が11メートルの高さにある。
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玄海原子力発電所の脱原発訴訟
川内原子力発電所 九州電力 鹿児島県薩摩川内市
加圧水型軽水炉、改良型加圧水型軽水炉 2基 計画中1基
178万kW 全機定期点検中。
64年に誘致決定、79年着工、83年6月初臨界。1号機では、10年にタービン建屋内でアースの取り付けをしていた作業員が感電死した。3号機が計画中だが、周辺に活断層があることは九電も認めている。50km圏内に鹿児島市80km圏内だと指宿市や熊本県天草市も入る。
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川内原子力発電所の脱原発訴訟
もんじゅ 日本原子力研究開発機構 福井県敦賀市 高速増殖炉 1基
28万kW 原子炉内中継装置落下事故により停止中[20]。
日本原電の敦賀原発の近くにある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉。高速中性子を使って、通常の核分裂のほか、核燃料とならないウラン238のプルトニウムへの転換も促すことになっている。91年から性能試験が始まったが、95年ナトリウム漏れ事故で運転休止、10年5月運転を再開したが、原子炉容器内に重さ3.3トンの炉内中継装置が落下.これまでに2兆4000億円の予算が投じられてきたが、内部の状況もわからず、運転休止のまま復旧はできず廃炉にするしかないのではないか、という見方もある。
計画・建設中の発電所
大間原子力発電所 電源開発 青森県下北郡大間町 改良型沸騰水型軽水炉 1基
138.3万kW 建設中、運転開始時期未定。
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大間原子力発電所の脱原発訴訟
上関原子力発電所 中国電力 山口県熊毛郡上関町 改良型沸騰水型軽水炉 2基
274.6万kW 準備工事中断中、運転開始時期未定。
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上関原子力発電所の脱原発訴訟
廃止中の発電所
東海発電所 日本原子力発電 茨城県那珂郡東海村 黒鉛減速ガス冷却炉 1基
16.6万kW 1998年3月31日運転終了、2020年度に廃炉解体終了予定。
ふげん 日本原子力研究開発機構 福井県敦賀市 新型転換炉 1基
16.5万kW 2003年3月運転終了、2028年度に廃炉解体終了予定。
建設中止の発電所
豊北原子力発電所 中国電力 山口県下関市
1994年白紙撤回。
串間原子力発電所 九州電力 宮崎県串間市
1997年計画断念。
芦浜原子力発電所 中部電力 三重県度会郡南伊勢町・大紀町
2000年計画断念。
珠洲原子力発電所 関西電力 中部電力 北陸電力 石川県珠洲市
2003年計画凍結。
巻原子力発電所 東北電力 新潟県新潟市西蒲区 沸騰水型軽水炉 1基
82.5万kW 2003年計画断念。
日置川原子力発電所 関西電力 和歌山県西牟婁郡日置川町(現・白浜町)
2005年、電源開発促進重要地点の指定より除外。
久美浜原子力発電所 関西電力 京都府熊野郡久美浜町(現・京丹後市久美浜町)
2006年計画中止。
福島第一原子力発電所 (7、8号機)東京電力 福島県双葉郡大熊町・双葉町
改良型沸騰水型軽水炉 2基
276万kW 福島第一原子力発電所事故の影響により2011年5月計画中止。
浪江・小高原子力発電所 東北電力 福島県南相馬市小高区・双葉郡浪江町
沸騰水型軽水炉 1基
82.5万kW 福島第一原子力発電所事故の影響により2013年3月建設中止。
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世界の原発
市民の運動で稼働を止めた“動かない原発”があるフィリピン
稼働中止になったバターン原発訪問記
(日本国際法律家協会 2012年1月20日)
フィリピンの非核運動 歴史的、現代的視点 ルイシト・ブッチ・ポンゴス
(PDF)
脱原発の国 ドイツ
ドイツ反核法律家との交流 大久保賢一
(日本反核法律家協会)(PDF)
German steps against nuclear weapons and step out from civil use of nuclear energy(英文)
ペーター・ベッカー(国際法律家協会会長)(PDF)
エネルギーの転換 ライナー・ブラウン
(国際法律家協会常任理事/国際平和ビューロー運営委員)(PDF)
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